VELISTA（ヴェリスタ）のヘンリーネックTEE（メランジベージュ）です。
今回も2020SSシーズンに引き続き編み物の産地、名古屋を拠点に活動しているTHYARDさんに協力頂きデザイン、パターン、生地を完全オリジナルで制作致しましたのが、こちらHENRYNECK TEEです。
前シーズンテーマに掲げた「真夏を快適に過ごす経年変化のないTシャツ」を更にブラッシュアップさせました。

昨年からのコロナ禍にある日本の夏も蒸せ返るような、そして茹だるような暑さは相変わらず。
そんな環境下でもファッションを楽しむ事を諦めずに過ごすため、前シーズン開発したHENRY TEEを定番アイテムとして展開しました。
様々な拘りを用いてチノパンやデニム、ミリタリーパンツを合わせたカジュアルな印象もモード感のあるセンタークリース入りのスラックスを合わせたドレスな印象も、はたまたクラッシックなハイウエストトラウザーを合わせたトラディショナルな装いにも対応出来るカットソーが仕上がりました。もちろん、前シーズン同様に「真夏を快適に過ごす経年変化のないTシャツ」というテーマもしっかり実現しております。

以下、ファブリックからディーテルに至るまでの拘りを解説しております。長文ですが、是非ご一読くださいませ。

１、シルエットの拘り
昨年以上に真夏にショーツというスタイルを受け入れる男性の方が増えてきたように思いますが、注意すべき点としてフルレングスとのバランスを考慮して合わせていたトップスはショーツに必ずしも適応するかというとそうではないという事です。（これは昨年も言及済み）一般的にはショーツに合わせる際はワンサイズアップする感覚でサイズを選ぶ必要があります。ですが現実的に気に入って購入したトップスであれば、出来るだけ多くのボトムスに合わせたいと考えるのは当然の話。
そこでショーツにもフルレングスにも適応する着丈と実現しました。昨年よりも身幅をぐるりで２センチ広げています。２センチなのでシルエットに変化はないながらも肌の設置面が減り裾から入る空気や風を溜め込まずに即座に外へと逃す役割を高めました。
身幅を広げているもののウェイトが軽い生地のお陰で縦に走るドレープによって横に広がる事がなく、また着丈の設定を着用した時の身幅の寸法でバランスを取っているのでショーツでもフルレングスでも全体的なバランス感を適度に保ってくれるようにしました。（パターンと寸法を考える際に着用状態の寸法を考慮する事は殆どないと思います、ここが顧客視点でもあり現場視点で物作りしているメリットですね）

２、生地の拘り
真夏の猛暑を乗り越えるためにはライトウェイトであること、頻度高く自宅洗濯してもヘタらない高い堅牢性を持っていること。この2点を最低ラインの基準と設定し生地選びを開始しました。先シーズンのTORAYが開発した新素材、PrimeflexRよりも更にライトウェイトな鹿の子生地を今回は採用しました。従来の生地よりも速乾性、耐摩擦性、耐水性、耐汗性、伸縮性に優れたバイメタル構造糸を使用した高性能ストレッチ織編物です。簡単に言うと所謂、鹿の子素材の最新型です。（鹿の子と言えば編地で凹凸感を出すことで肌の接地面を減らし清涼感を実現する夏の衣類に使用されることの多い生地で昔から伝わる織りの一種です。）
一見リネンや度詰めのコットン生地にも見える目の粗い鹿の子組織の性質上、風が通り抜ける面積が広いことで多くの空気を取り込んでくれるため、着用するだけで空調を浴びているほどの清涼感を体感する事ができます。また実際に着用すると分かるのですが裏面をシルクのような光沢を持つシルケット加工毛羽を排す）を施したような表面になっているので肌に触れた際のヒンヤリと感じる接触冷感生地にもなっています。兎に角、軽くて寒いぐらいの清涼感、そして何度洗っても生地のヨレやヘタリが起こらない、また驚愕の速乾性を持つ最新素材です。（自身でサンプルを約1ヶ月半着用しましたが、洗濯機から出して10分部屋干しすればほぼ乾いてしまいますので一人暮らしの部屋干しに最適です。昨年のモデルよりも更に5分時間短縮！）


３、デザインの拘り
先シーズンモデルと同じ型紙を採用したヘンリーネックデザインを踏襲。もちろん理由はシンプルながらもトラッドな要素とワーク要素を併せ持った特異なデザイン、Tシャツ1枚でも様になる、物足りなさを感じないコーディネートにしてくれるヘンリーネックは最早、定番のネックデザインです。
ディテールやパーツそれぞれのバランスの成り立ちなどヘンリーネックの歴史を紐解くために過去のウェアを掘り下げていく中で1950年代のスウェーデン軍M39というヘンリーネックの長袖アンダーウェアに辿り着きました。主にスリーピングウェアとして着用されていたサーマルカットソーで、これをベースに半袖に改良し、袖付の角度や身頃とのバランス、ネック部分のパーツデザインを踏襲しつつも、よりクラッシック且つワーク色も併せ持つ洗練されたものへアップデートさせました。ミリタリーのパンツからドレスパンツ、トラウザーまでコーディネート出来るデザインへと昇華させることが出来ました。


４、縫製の拘り
縫製工場は尾州の工場で、工場名は非公開ですが縫製の美しさでは非常に有名な工場さんです。今回は縫製に使用した糸もボディのカラーにマッチした絶妙な配色で縫って頂きました。些細なことですがフロントボタンは白蝶貝を使用し、品の良さを与えています。