NICENESS（ナイスネス）のクリーガービンテージW/Sネップヘリンボーントラウザー（チャコールネップ）です。
経糸にデッドストックのケンピ入りシルクカラーNEPとウールNEPを交織。緯糸にはシルク紬糸(シルクノイル ヤーン)を使用しておりシルクNEP感も楽しめます。絹紡糸独特のNEPとムラ感が特徴の生地です。生地特性を より活かすため、製品洗いをかけることで膨らみのある凹凸感が残る立体的な製品に仕立てています。型は1930 年代のフレンチテイストのあるトラウザー型ですが、オールド感のある仕様や生地を取り入れ、クラシカルな風 貌に作り上げました。

 “Flower Takes A Trip” Collection

東京を拠点とするブランド『NICENESS』の10シーズン目となるコレクション“Flower  Takes A Trip”。タイトルは1966年にロンドン・チェルシー区にオープンし、その後のファッションデザイナーに多大なる影響を与えた店、『Granny Takes A Trip』から引用しています。様々な国や地域の民族的趣向を取り入れた前シーズンの世界観に新たな視点を持ち込んだコレクションです。本コレクションでは花をモチーフとした刺繍やテキスタイル、パターンワークを駆使し、60sや70sのサイケデリックなムードを纏うアイテムを多数展開しています。最新の編機SRYを用いたニットシリーズやオリジナルのペイズリー柄をプリントしたコーデュロイシリーズが象徴的なアイテム。熟練のテーラーに制作を依頼したセットアップは、クラシカルな要素とシーズンのテーマ性を融合させた意欲作。60sを代表するアメリカの某レザージャケットを着想源としたディテール使いのジャケットに、組下のトラウザーにはフレアデニムのシルエットを採用しています。毎シーズン展開しているレザーシリーズにはキャメルのレザーを用いたカーコート、ディアスキンのハーフスリーブ・ブルゾン、シープスキンにレオパード柄をエンボスプリントしたシャツブルゾンがラインナップ。ニットウェアでは無染色のキャメル糸やアルパカ糸といった希少な原料を使用した極少量のみ生産を行うアイテムも制作しました。本コレクションはアート的な視点から過去のムーブメントと現代社会を重ね合わせ、様々な国や地域の文化に敬意を払い、現代の技術と失われつつある伝統的な技術を組み合わせ制作しました。節目となる10シーズン目のコレクションとしてブランドのアイデンティティである奥行きのある洋服づくりを表現するにあたり過去最大のバリエーションを展開します。

ー A Letter From Designer:
NICENESS AW22 Collectionは前シーズンの“Tribe Circle”の世界観に新たな視点を持ち込んだコレクションです。コレクション制作にあたり、フランスで買った古着のジャケットを眺めていたら内ポケットから枯れた花が出てきました。元の持ち主は瑞々しい花をどんな気持ちでポケットに入れたのでしょう。この枯れた花との偶然の出会いが本コレクションの制作における指針となりました。一枚のジャケットに入れられた花を通じて人種や種族、距離や時間を超えて、人間的なつながりを感じました。本コレクションでは刺繍で花を描いたり、花を支える茎をモチーフとしたテキスタイルや、花びらをイメージしたカッティングを施したりと枯れた花から発想を得たデザインが多くあります。作ろうと思えば簡単にものが作れる、便利で開かれた時代にはなりましたが、工場の職人さんに自分のアイデアを伝えると「昔はできたんだけどね」と言われることが多くなりました。生産の様々な工程において機械化が進むことで、手作業では可能だった仕様や技術が確実に消えていっていると実感します。現代の技術だからこそ可能な仕様もありますが、過去に可能だった選択肢が失われている事実に直面すると、毎回歯痒い気持ちになります。抗えない時代の流れといえば、それまでなのかもしれません。新しいマシンも使うし、すごく古いマシンも使う。技術的に新しい糸も使うし、ずっと残されている古い糸も使う。過去も現在も未来の空気感も取り入れて絶妙な配分を探る。今シーズンはそういった、受け継がれてきたものと未来をつなぐようなアートに近い思考を取り入れながら、ものづくりに取り組んだコレクションです。