SLOPESLOW（スロープスロウ）のクルーネックセーター（キャンディ）です。

良いニットの特徴の一つ、ぷっくり膨らんだボリュームのあるネックで玄人向けのアピールポイントを擁したミドルゲージセーター。
実はリバーシブル仕様。

「重い、厚い」SLOPESLOWのプロダクトにはこの言葉がつきまといます。
ワークウェアには重量感のあるものが多く、名品が多く生み出された時代には原材料や織機などのテクノロジーが発達していなかった故に起こる必然の重量でデザイナー夫婦が好む洋服も、音楽も、家具も重量感のあるものが溢れているそう。
それらに合わせて作られるSLOPESLOWの洋服も同様にズッシリを重量を感じるものになる。だからだろうか、ローゲージのアイテムが非常に多い。

そんな重量感を感じるラインナップの中、本モデルに使用される素材（糸）はヤク、シェットランドウールにシルクネップを掛け合わせて作った新しい糸のシリーズは、そんなニットウェアの中では最もライトな肉感。
デザイナー夫婦が最初に念頭に置いたのはベーシックなシェットランドウールのクルーネックセーター。

若かりし頃のミック・ジャガーや、アンソニー・パーキンスが着ていたようなシンプルでなんということのないスタイルが好きで、いつかそんなイメージのクルーネックセーターを作りたいと思っていたそうだが、世の中に溢れるプレーンなセーターとは違ったモノをテーマに添え、色々素材の掛け合わせを試行錯誤し、彼らなりのプレーンなセーターを制作したのがこのシリーズ。

サックスブルーや何色ともつかないスモーキーな淡い色など、紡毛の良さが生きるカラーをイメージして、色によっては原料のヤクやシェットランドウールを別注で制作。
ツイードっぽい表情を加えたいとシルクネップをミックス。渋すぎないようにネップのカラーはちょっとポップなニュアンスになるよう組み合わせています。

プレーンなセーターをイメージしてサンプルを制作したものの、プレーンすぎて納得がいかず、結果やはり少し癖のある仕上がりとなった。
袖口、裾、ネックには、少しアクセントに加えた配色で「捨て糸」をイメージしています。
「捨て糸」は本体を編み出す際に適当な残糸を引きそろえて数コース編む部分のことで、最終的には解いて本体を仕上げるので、製品として見る事はないのだけれど、工場やデザイナーにとってはお馴染みのもの。
最初のサンプルがしっくり来なかったとの理由で、身頃と袖部分は本来の裏面をひっくり返して表にしてみたり、風合い直しをしてみたり、そんなこんなで仕上がった「自称プレーンで薄手のセーター」。
ハンマースリーブは某ラグジュアリーブランドがネタモノにも採用した曲者セーターには定番のデザイン。
本モデルには繋ぎ目部分には身頃と袖の天竺編みとは編み方を変え、少し幅を取って肩から袖まで一直線に繋いで見せています。

シルクネップのドライ感が生きていて、さらっとして着心地が良い。
長く付き合うセーターは一見プレーンに見える曲者が多い、本モデルも然り。