画像では仰々しく写っていますが、
フランス軍のブージュロンJKTがデザインのベースになったこちら
所謂、作業着です
佇まいが美しい
経験に裏打ちされたテーラリングのテクニックがあらゆる箇所に息づいています
トルソーに着せつけても、ソファーに寝かせておいても美しい、その様（サマ）
雨ふらしの袖付け、クラシックでオーセンティックな直線的な襟は首に沿うような登り衿
ウエストに配された共布のベルトはふらし芯程度の薄くて軽い芯地を用いているので、着用を繰り返すと丸く生地幅が狭まり、キュッと絞った時の見え方が、なんともこなれた感じで洒落て見えるんです

輝くフロントのシェル釦を外し内側を見れば、袖付け位置に見える配色が絶妙なバイヤスのパイピング
背面のスリットには手閂
フロント袷の打ち合いを少し深めに取ってフロント釦位置を若干、サイドへズラされています
それは、ほんの数センチ、セミセミダブルぐらいの袷にすることで、かっちりJKTから、少しカジュアルなブルゾンのような要素を作っています（流石）

そして生地
それに日本のむせ返るような気候を考慮し採用されたのが尾州で開発されたアムンゼンと呼ばれる織り生地
ジョーゼットや梨地織りと呼ばれる織物で生地の表面を拡大すると分かりやすいのですが、凹凸とそれによる空気の通り穴があり、タオル地よりもドライタッチで肌離れが良く、古くは着物の長襦袢としても多用された長い歴史のある生地です

ここ数年、他ブランドからも綿100素材で夏のカットソーなどでも採用される事がありましたが、アケヨスの永田さんは春の羽織に採用、しかもSilk 47%、Cashmere 28%、Cotton 25%の三者混

それぞれ糸の特性が異なるので、確かな理解がないと生産するには大きなリスクを伴います
正にデザイナーと職人、それぞれのクリエーション、パートナーシップの両輪が備わってこその素材開発

生地の表面を凝視すれば見える奥の方からシルクの奥ゆかしい艶、緯糸にはカシミヤ、コットンの二種の糸を揃えました

肌色程度のキャメル色したカシミヤ糸とコットンはTOPグレーは先染め特有の揺らぎのある色

二種の色がほんのり利いた事で、近寄りがたい純白から程よくカジュアルな風味を備えた淡いOFFホワイトへ昇華しています

芸術的な色、心が喜ぶ触感、それらをフランス軍の作業着へ落とし込む高いクリエイション
袖を通し下に重ねるインナー或いは素肌に触れた時に着用者だけが体感出来る、衣擦れ、その音

シンシンと透き通るような朝、袖を通す
ササッ、ササッと鳴る衣擦れに耳を澄ましてください

以下、永田さんが纏めた資料も是非、ご一読を

The AMUNSEN（アムンゼン）
淡いトーンの組み合わせ、素材それぞれが持つ本来の光沢、そして尾州で開発されたアムンゼン組織、いわゆる凹凸のある梨地織りは肌離れがよく暑い時期に好まれます。
1911年ノルウェーの探検家「アムンゼン」の南極探検の成功にちなんで名付けられたと言われています。
タテ糸はオフ白のシルク、ヨコ糸はカシミアのキャメル染とコットンのTOPグレーを1本ずつ並べました。
アムンゼン独特の凹凸が、過度な光沢を抑えながら美しく表現されています。

AOV-G2-pe-21 - Bourgeron coat-
ベースとなったのは”Bourgeron”(ブージュロン)、、、19世紀後半にフレンチアーミーが着ていた作業着の総称です。いわゆる外套ではなく作業着として無駄を省かれ引き算された美を感じます。
コートのようなジャケットのような、そしてシャツのような、、、というアイテムを目指しました。
程よいAラインと前裾の丸いカッティングは燕尾服のよう、付属ベルトでシルエットを自在に変化させ様々なスタイルでご着用頂けます。