NICENESS − デザイナー郷裕一氏が手がける2018年スタートの新鋭ブランド。
コンセプトは「イイものはイイ=Just good is good」。
国内外でものづくりの経験を積んできた郷氏が選び抜く確かな素材、
パーソナルな趣向やカルチャーにフォーカスしたコレクションは毎シーズン楽しませてくれます。
今季22SSのテーマは”Tribe Circle:民族‐円環”。
地球上で暮らしてきた民族それぞれへのリスペクトと、私たちがひとつの円のようなつながりにあることを表現したコレクションとなっています。
そんなNICENESS(ナイスネス)より、KHAN(カーン)のご紹介です。
エスニックな雰囲気が漂うシャツ。
このアイテムは「インド」にフォーカスして作られた一着です。
まずはその生地から。
今回使用している生地は「カディ生地」。
インドの民族衣装サリーに使用される伝統的なコットン生地です。
カディ(KHADI)の歴史は、インドがイギリスの植民地だった頃に遡ります。
植民地時代、マハトマ・ガンジーがイギリスの機械織りの布に対抗し、各地でインド国産の手紡ぎ・手織りのカディを広め、人々に仕事を与え自立を促し団結させることでインドの独立に貢献したと言われています。
別名”The fabric of freedom”。
そんな背景でインドに普及したカディは、今日もなおインドの人々に愛され続けています。
糸を紡ぐところから手作業で行い、人の手で織られていく。
全て手作業で行うため、非常に手間と時間がかかる生地です。
不均一な糸や織りが独特の風合いを出してくれます。
また機会織りでは感じられない、とても繊細で柔らかな肌触りに人の暖かさを感じます。
暑さの厳しいインドに欠かさない「風通し」や「吸湿性」にも優れており、機能的な面でも十分に価値のある素材です。
NICENESSでは細番手のカディ生地を少量仕入れ、オープンカラーシャツへと昇華させています。
この”軽さ”と”肌触り”は是非店頭で体感していただきたいです。
次にこの特徴的な「柄」について。
ここにも「インド」の伝統が使用されています。
ハンドメイド ウッドブロックプリント。
現地ではKalamkari(カラムカリ)と呼ばれる伝統工芸です。
ウッドブロックとあるように「木版」を使用する捺染(なっせん)手法。
捺染とはいわゆるプリントのこと。
手彫りした木版に染料をつけ、人の手でひとつづつ染めていきます。
木版は人の手に収まる程度のものなので、大きくても20センチ×20センチ程度のもの。
それぞれ異なる柄の木版を使い、重ねる色を変えながら、ひとつひとつ丁寧に生地に押し当てていきます。
人の手で色を重ねていくので、染料が掠れていたり、ブロック位置がズレたりします。
このシャツにも見ていただくとそのような箇所がチラホラと。
まさに唯一無二な一着なんです。
また、木版で色をのせるだけでは染まりきらないため、媒染という作業を行ったり、生地を洗ったり、乾かしたり・・・
生地が完成するまでになんと23もの工程が存在するとか。
考えるだけで気の遠くなるような作業です。
そんな背景を知っていただくと、よりこのアイテムに魅力を感じていただけるはず。
こんなインドの伝統を詰め込んだアイテムですが、形は先シーズン提案した50年代のアロハシャツ仕様を施したオープンカラーシャツをベースにしています。
今シーズン先シーズンの型の分量やシルエットを再考した新スタイル。
インドの伝統とアロハシャツが融合する、これがファッションの面白さですよね。
こんなアイテムはNICENESS以外、見つけられない気がします。
インドの伝統と、デザイナー郷氏のセンスを身に纏えるシャツ。
この夏の主役にぜひ。
店頭にてお待ちしております!
山口
(NICENESS) KHAN / カーン( KADHIブロックプリント開襟SH )(D.RED)