Uチップと聞いて、何を連想しますでしょうか。
Parabootのシャンボード、J.M.Westonのハントダービー、EDWARD GREENのドーバー、Crockett&Joensのモールトン
世界各国のメーカーから、Uチップを代表するモデルはありますが、これはいずれ日本を代表するであろうUチップ。
そんな風に思える今年のformeの新作。めちゃくちゃ良いです。
「Hand mocha blucher -ハンド モカ ブルーチャー- 」
今年の2月、鵜飼さんに同行させていただいたformeの展示会。
そこで見た瞬間に心を射抜かれた、かなり推しの一足です。
「このUチップが僕を呼んでいる!」
そんな衝撃が走って、試着後すぐに個人オーダーも決めてしまいました。
今日はそんな靴をご紹介いたします。
まずは”木型”から。
今回は新たなラスト(木型)「No.13」が登場いたしました。
デザイナー小島氏曰く、ラストNo.10、No.12とシュッとシャープ目の木型が続いていたせいもあり、
その反動か「ゴツッとした」フォルムの気分になり、このラストNo.13を完成させたとのこと。
(小島氏本人は2019年にNo.10の木型を削り終えた直後から、もうゴツッとした気分だったとか)
木型イメージはヴィンテージのスキー靴。
シャープすぎない無骨な雰囲気が今年の気分にもピッタリとハマるような気がします。
丸みのある少しぼてっとしたフォルムが新鮮です。
品名にもなっているこの「モカシン縫い」。
熟練の靴職人が丁寧に縫いあげた美しい”Uチップ”。
この曲線美に惹きつけられる人も多いはず。
同ブランドのコインローファーもモカシンでしたが、それより畝を太く仕上げています。
よりボリューム感があって、シンプルに面構えがめちゃくちゃかっこ良い靴だと思います。
もともとUチップは北欧で漁師靴で、フランスでは狩猟用で、アメリカではゴルフで、
それぞれの国でアウトドアやスポーツといった用途で発展を遂げた靴。
このformeの靴もそういった環境でガシガシと使えそうな、そんな堅牢な雰囲気が漂っています。
Uチップといえば、個人的にはParabootのシャンボード、J.M.ウェストンのハントダービーやゴルフなんかを連想します。
いずれもボテッとしたカジュアルでカントリーな雰囲気の靴。
それはそれで良いのですが、やはりドレスライクな綺麗なスタイルには合わせにくい。
formeのUチップはドレスとカジュアルの雰囲気を絶妙なバランスで成り立たせています。
日本を代表するUチップになり得る名作だと思います。
ボテッとしすぎていないセミスクエアラウンドトゥ。
かといってシャープすぎない形状が、ドレスにもカジュアルにも合わせられる妙なバランス感です。
上品かつカジュアルなイメージを持たせられるのが、さすがformeだなあと感じます。
今回VELISTAでは「ラバーソール」をチョイス。
展示会終わり、「ラバーソールがいいですよね!」と鵜飼さんとも意見が一致。
革底よりもボリュームが出て、尚且つ雨の日でももってこいなラバーソール。ケアが楽なところも魅力的。
ソール部分はアメリカのソールテック、ヒール部分はイギリスのビルトライトと、それぞれ異なるラバーが採用されています。
デザイナーが試行錯誤の上に辿り着いた組み合わせらしく、こういった細かい部分にも物作りへの熱意を感じます。
革底とはまた違った履き心地にやみつきになる人もいるはずです。
随所に見られるダブルステッチの重厚感もたまらないディテール。
細かい部分にもデザイナーの拘りが詰まっているなと感じる1足です。
レザーは二種類。
絶妙な色合いのブラウンカラーが魅力のアンバーは、きめ細かいカーフレザー。
男らしい艶感あるブラックカラーは、高密度な繊維で構成されたクラス。
クラスというのは、ホースバットと呼ばれる「馬のお尻の部分」。
デザイナー小島氏がイタリアで見つけたタンナーさんが作っているレザー。
馬のお尻と言えばコードバンが有名ですが、コードバンは革の裏側を削り出したものに対して、クラスは表側を使ったレザー。
繊維密度が高いので、履きこんで磨き上げれば、光沢感が増していって皺も乗って、さらにグッとかっこいい表情になります。
どちらがいいか・・・そんなことは決められません。一緒に悩みましょう。
今季、VELISTAで提案したいUチップのラバーソール。
是非店頭で足を入れてみて、その魅力に触れてみてください。
お待ちしております。
(FORME) Hand mocca Blucher_Rubber sole_Goodyear(CLASS_BLACK)
(FORME) Hand mocca Blucher_Rubber sole_Goodyear(CALF_AMBER)
山口