SLOPESLOW(スロープスロウ)
【Utility Knitwear】
時を超えて愛用され続けるワークウェアのように、経年変化を経ても、長く愛用される、タフで上質、オーセンティックなニットウェア。多くのワークウェアがそうであるように、容姿や性別にはこだわらず、それぞれの好みに合わせて、自由にサイズやスタイルを選択。シェフが一皿の料理を創作するように、思い描くイメージに合わせて、糸を作ることから、形にし、仕上げ方に至るまで、手間を惜しまず、最善の選択を積み重ねる。それが、わたしたちが何よりも大切にしていること。時を経ても、末長く愛用される一着でありますように。
PROFILEーーーー
B and O
ワークウェア、ニットウェア、日々のごはん、音楽、猫、を愛する夫婦によるユニット。2022年、ニットウェアブランドSlopeslow、ワークウェアのリメイクラインSlopeslow Renewをスタート。夫婦それぞれ、アパレルデザイン、素材づくり、と違う角度から長年アパレルとニットウェアの製造に携わる。変化の速いトレンドや消費とともに失われつつある誠実で丁寧なものづくり。大量生産とは真逆のものづくりを実践することで、「小さな規模でしか出来ないこと」の可能性を感じながら、日々のごはんと共に、自分好みの味に仕上がるように、日々手間暇を惜しまず、楽しみながら、ゆるやかに、スローに、活動している。
ここ数年、特にコロナ以降に生まれたブランドは一定のクオリティを超えているものがほとんど
技術革新や作り手側(川上)にいた方が表(川下)に出ることが可能になったことなど様々な要因はありますが、やはり大きいのは作り手の方が直接表現できるようになってことでバイヤーだけでなく、一般のお客さんに直接、情報が届けられるようになったことだと思います
だからこそ、そのハードルは以前よりも高くなって、高級綿を使用しているとか、有名ブランドの洋服を縫製しているファクトリーで作られたとかのワードだけでは、琴線に触れたり、心に深く刺さり難くなりました
本質が問われる、そんな時代の流れが今、起こっています
その本質を長年、生産工程の始まりの場面で追求してきた御夫婦が立ち上げたのが、このSLOPESLOWです
デザインのベースになっているのはミリタリーウェアやヴィンテージのワークウェアが多いのですが、用いられる糸や生地の開発に2年3年と費やし、本来、実現不可能な風合いやタッチを実現させ、生地の奥に見える糸を凝視すると、その摩訶不思議な仕上がりを発見することができます
今シーズン、いくつかのプロダクトをピックしましたが、先ずはブランドのアイコンとも言えるカウチンに触れて、このブランドの狂気なものつくりの一端を感じてもらいたいと思います
そもそも今の日本で3月納期に手編みのカウチンをリリースすること自体、一般的には狂気と思えるのですが実は、そんなに攻撃的な考えで生まれた訳ではなく、世の中にないものを生み出すというブランドコンセプトと自分達が良いと思える糸や生地が出来上がれば、それに見合った物を追求するという至極素直で真っ当な思いから生まれたのが、和紙、コットン、ウールの三種混紡の手編みのカウチンです
(元々の納期も2月末が設定されていたので、、夏以外に着用できる物という意味で作られたのだと思います)
具体的な製作の流れとして手編みプロダクトは糸開発担当のOさんが糸を試作し、Bさんが手編みで試し編み、そして自ら染めて風合いを確認、問題なければ、編み手さんへバトンタッチ、量産となりますが、編み手さんへバトンを渡すと最低でも1ヶ月は掛かるので、その段階から修正や変更が入ると膨大な時間のロスが発生するため、前段階の試し編みし染めたものでほぼFIXとなるものに仕上げる必要があります
ここは少し私も関わっているので、とんでもなく時間のロスが発生することを体感済みです(簡単に言うと1ヶ月が半年になる感じ、、、)
で、実際はどうなったかとい言うこと、オフィシャルサイトの一文を抜粋すると、このような感じです
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春物とは言え、手編みの良さを生かしたいと重量感、存在感があり、触ったことのないような質感、ドライな肌触りを目指して素材のベストマッチを探っていった。
コットンはペルー原産でウールのような膨らみがあり、尚且つかさっとした粗野な質感が特徴のものを選び、和紙を掛け合わせてみたが、重厚感、保形性が弱い。
キックバック性を持たせる為に上質なラムウールを強撚したものを加えると、製品染めの色目にも奥行が出て良い雰囲気になった。
ファーストコレクションで作った手編みのカウチンセーター、クリケットセーターが自分達でも気に入っているので、季節やシチュエーションが違っても着られるよう、あえて目新しいデザインではなく、同じデザインベースでの可能性を追求しようと決めた。
カウチンセーターは重量感がないとサマにならないので、かなり厚手だけれど、和紙独特のドライなタッチが生きたとても良いプロダクトに仕上がった。
ご覧の通り、とんでもなくパワフルなカウチンに仕上がっています
これは実物を是非、見て触れて欲しいです、画像では伝わらない異次元の糸と生地に圧倒されるはずです
そして生地の特性をふんだんに活かした襟の立ち上がりの美しさ、これも是非試着して体感して欲しいです
そしてCROSS V-NECK SWEATERとHALF SLEEVE TEEとに使われているジャージー素材、昨今良しとされている柔らかくて、軽くて着心地が良いの三拍子を全くもって無視した、硬くて、重くて、厚い、そんな生地を開発し使用している
とは言え、半袖ですから当然着用シーズンのことは考えていて、素人には気づかないテクニックが盛り込まれています
コチラ一見、裏毛のように見えますがよく見ると表面に縦に入ったスジのようなものがあります
タック編みと呼ばれる本来はいゲージやミドルゲージのニットに用いられる凹凸のある編み地が特徴の編み方の一つです
この凹凸によって肌への設置面が半分になり、凹みの部分が空気の抜け道となっています
(CROSS V-NECK SWEATERの方がフロント面で分かり易く表現されていますが、HALF SLEEVE TEEの方が変態度は高いです)
そして表面を奥行きのある表情にするため、裏毛同様にグレー杢の糸を使い、強いメランジ感を抑えるために製品染めで馴染ませています
元々、タック編みによって凹凸があるため、製品染めを施しても陰影を作り、そして奥の方からじわ〜と見える杢糸が数年着込んだような表情を生み出しています
ここから着込んでいった時の僅かに進む褪色が楽しみでならない一品になっています