【DesignersやLaxury Brandでは踏み込めない領域でカジュアルシャツを仕立てる-2】
(introduction)
French Vintageの熱狂から始まったバンドカラーシャツも一定の認知がされた今、改めて襟付きシャツを製作してみました。
当店のBESPOKEシステムではシャツの襟型を30種+1からお選び頂けます。(+1は当店オリジナルのバンドカラー)
(勿論、ベースになる襟型から寸法を変える事も可能です。レギュラーカラーのロングポイントにするとか・・・)
かなりの自由度をもっと御作り頂けるのがVELISTA(ヴェリスタ)のBESPOKE SHIRTなのですが、コロナも収束して、少し着飾って出かけよう!って気持ちになっている御客様も多く、私やスタッフも少しエレガントに装う気分が今年に入って高まってきました。
そんな気持ちを素直にカタチにしようと考えたのが、ワイドスプレッドショート(ホリゾンタル)と言う襟型。
コロナ禍でリラックススタイルに慣れてしまった身としては、極端にドレッシーに着こなしたいわけでなく、カジュアルから半歩ドレスに近づく、そんなスタイルが今の気分です。
それともう一モデルとして当店では珍しいB.D.(ボタンダウン)の襟型も作りました。
イタリアクラシコのワイドスプレッドに対してB.D.はアメリカントラッドのイメージと、どちらかと言うと両極に位置する印象があります。
ボタンダウンも余り先入観に囚われずにタイドアップを前提としない柔らかい衿芯のフラシ芯を採用しています
洗うと優しく衿先が跳ねて、リラックスした印象が生まれます
(main subject〜本題)※バンドカラーモデルとシルエットは同じにしていますので同じ内容です
タックインとタックアウト、いずれも姿も絵になるようなシャツ
欲張りなようですがシャツの醍醐味の一つはタックインスタイルだと自負しています
そして大切にしたいのが決してビジネスに陥らないスタイルです
そこには肩幅、中胴、下胴に繋がる一つのラインが、とても重要で今作では、そこに重点を起き、腕周りの分量やカフス幅、勿論、襟幅然り、前立てとのバランスに注意しパターン制作しています
そこには14年前のグランパシャツから始まり、ビスポークに携わる経験と国内外様々なブランドのセレクションによる審美眼が合わさって地肉化した末のプロダクトです
タックアウトした時のバランスも当然、考慮し前丈と後ろ丈の前後差を殆ど無くしています。着用した時の体の厚みを考慮して平置きしてみるとやや後ろ丈が長くなりますが、着用するとご覧の通り前後差はほぼ無くなります
洗いざらしの感じも良しです
フラシ芯なのでニュアンスのある形状の衿
パンツのポケットに手を入れた時の生地の持ち上がりも極力無くしています。
こちら身長171cmの男性がサイズXL相当のシャツを着用しています
肩はややドロップしていますが必要以上に袖を太くしていないので全体のバランスはすっきりしています
セミワイドシルエットのボトムスとのバランスも良好
当然袖丈も肩幅に合わせて長くなっていますが、袖口のボタンは2つ配していますので内側のボタンを留めると手の甲より先には落ちてきません、また袖の太さも程々の寸法に留めているので袖口部分に極端な溜まりも出ません(鈍臭くならないです)
袖口をロールアップした時のバランスも良いですね
ボタンダウンの襟もショートカラーの様に少しコンパクトに仕上げています、サイズはXL相当にも関わらず、全体のバランスを崩していません
因みに、コチラの生地はTHOMAS MASON(トーマスメイソン)、青みの強いブルーが新鮮です(サックスブルーは巷に溢れかえっていますし、ブラックボトムスには少し負けてしまうので、これぐらい強めのカラーなら漆黒のボトムスにも太刀打ちできます
なおトーマスメイソンだけで実に三百種類を誇るラインナップを用意しています(もちろん、リネン、シルク、ウール、柄物などなど、、、)
女性が着用するイメージも当然前提に制作しています
少し物足りないコーディネートはシャツのバランスが分かるようにレイヤードなどは避けていますので悪しからず
御覧の通りワイドスプレッドでもショートにする事で仰々しい衿周りにならず首長効果もあり、また台襟を低く設定しているのでマニッシュなバランスで小顔に見えます
パンツスタイルにすると更に顕著ですが、身幅と着丈のバランスが良く、また裾のラウンドカットも浅めにし前後差を付けていませんので、縦長のラインが強調され、スタイルアップ見えします
ナポリのカミーチャ(シャツの仕立て屋)のようなジャズで言うところのインプロヴィゼーンのようなパタンナーとのディスカッションと、緻密な手仕事では右に並ぶ国は未だ多くない日本のオーダーシャツファクトリーの構築的な物作り、そして
大阪の地域で江戸時代から130年以上続く服地メーカーとしての機屋としてのプライド。
そして時代の匂いを嗅ぎ分け続けてファッション領域で本質を追い続けたVELISTA。
この4つの要素がとても良い塩梅で調和されたと思います。
とても個人的でありながらも一定の人の心には刺さるシャツなのではないかなと思います。
やっぱりVELISTAが目指したいのはゴリゴリのドレススタイルだけでなく、デイリーユースなカジュアルスタイルも表現したいし、今はジェンダーレスなプロダクトとしても成立させたスタイルです。
(当店オリジナルで作りこんだバンドカラーも!)
襟高の設定には、とても苦労しました。男性の首周りと女性の首周りでは寸法が大きく異なりますし、それぞれがバランスよく見える為には後ろ襟の高さから前下がり部分(第一釦)の傾斜及び形状をシャープに保つことを重要視しました。襟先の高さを後ろ襟の高さよりも低く設定しているのでフロントやサイドから見た時にシャープに見えます。
そして第二釦を開けた時に襟の跳ね方、Vゾーンの領域。その為に使用する芯地も可能な限り薄くしながらも適度な堅牢度も併せ持つものを選択。
裁断・縫製を担当頂いたのはビスポークシャツを長年手掛けれててきたシャツ工房さんですが、イタリアサルトではおなじみのマニカ・スポスタータや本カンヌキもお手の物の凄腕工房。
イタリアサルトの持つ柔らかさをカジュアルに落とし込みました。
そして袖の形状にも拘りを持たせています。袖をロールした時に肘の下の位置で一折りした時に程よく腕の太さに添うようにしました。
腕まくりし易い小丸カフス、そして美しいカフス幅と柔らかなカフスの芯地です。
そして若干、前振り袖(マニカスポスタータ)で袖付けする事で腕の可動もラクラク。脇下の画像ですが、袖の縫い合わせ部分が身頃の縫い合わせ部分よりも前に位置しているのが分かると思います。
タックインした時の背中ボリュームとインした裾の収まり具合と適度なボリューム感、分かるでしょうか?
ヨークは正取りです。パターンによって肩周りの可動域は十分取っていますし、生地が二重になるスプリットヨークは敢えて採用していません。
収まりの良い身幅。タックアウトした時の縦に伸びるラインの美しさ。パターンと仕立ての良さが分かると思います。
王道のナポリスタイルは勿論、フレンチワークからアメリカントラッド、そして場合によっては和装的要素も兼ね備えたデザインになっています。
Loro Pianaのドレスパンツで直球のドレススタイル。上下のバランスが絶妙。
一見、和装のようにも見える凛としたバランス。
採寸して御客様の体型に近いサイズから寸法補正します。
今回は3つのサイズゲージ(サンプル)を御用意しておりますので目安となる着用感を体感頂けます。
如何でしたでしょうか?オリジナルで制作したビスポークのバンドカラーシャツ。個人的趣向でスタートしたプロダクトですが幾人かの方(男女問わず)の琴線に触れたのではないでしょうか?(多くの方に受け入れられるとは思っていませんが、気に入ってくださる方にはいると信じて明日からのオーダーフェアお待ちしたいと思います)
詳細は下記です。
「開催期間」
4月22日(土)〜5月7日(日)※ゴールデンウィーク中もオーダー可能
「オーダー内容」
(カラー(襟型))一押しはバンドカラーですが様々なデザインを選んで頂けます
30種+1からお選び頂けます
スプレッド
カッタウェイ
ボタンダウン
ワンピースカラー
セミスプレッド
レギュラー
タブ
ラウンド
ウィングカラー
ショートカラー
ロングポイント
イタリアンラウンド
ポリゾンタルワイド
ドゥエボットーニ
ピンホール
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(カフス(袖口))
ノーブル
ラウンド
スクエア
直角
大丸型
小丸型
角落型
フレア型
ミラノカフス
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(ファブリック(服地))
200種以上の生地からお選び頂けます
DAVID&JOHN ANDERSON (ITALY)
THOMAS MASON (ITALY)
ALLVINI (ITALY)
ALBIATE (ITALY)
CANCLINI (ITALY)
MONTI (INDIA)
ALMO(SWISS)
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(ボタン(釦))
水牛
ナット
シェル(貝)
(芯地)
・10種類以上の芯地からお選び頂けます。
(サイズ)
・原則、どんな身長、体型の方でもお作り頂けます。サイズサンプルも御用意しています。
「納期」
御注文日から3週間(最短5月中旬~5月下旬) ※生産状況により若干の遅れが発生する可能性もございます
※オーダー時に全額御支払となります。
「販売価格」
・2万8000円〜6万円(税別)
※生地により変動致します。
(例)トーマスメイソン生地で2万8000円(税別)、DAVID&JOHN ANDERSON生地で5万円