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【YASUTO KIMURA】ビスポークオーダーフェア

秘すれば花〜YASUTO KIMURAビスポークテーラー

東洋における美学や精神性を西洋の美意識が創り出した洋服のフィルターを通してジェンダーレスで現代的(モダン)なテーラー(ウェア)を提案するブランド、YASUTO KIMURA

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YASUTO KIMURAビスポークオーダーフェア
会期:5月25日(土)〜26日(日)
場所:VELISTA内特設会場(サロンスペース)
オーダーアイテム:コート、ジャケット、シャツ、トラウザー、ショーツ、ワンピースなどのオールシーズンアイテム

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複数回に渡って御紹介するYASUTO KIMURAと言うブランド
こちらのPOSTではブランドコンセプトについて御紹介したいと思います

冒頭、少し堅い表現からスタートしてしまいましたが生み出される洋服や、そこから醸し出される空気は、とてもリリカル(叙情的)でモダン(現代的)です
※サムネ画像からも香り立っていませんか?

自身の事を職人ではなくデザイナーと呼称する仰る木村さん、

この木村さんに対するデザイナーと言う呼称、私の解釈は一般のそれとは違います
個体として洋服をデザインするだけではなくYASUTO KIMURAと言うブランド(組織)をデザインしていると言う意味でのデザイナーと言う呼称

この文章を書くにあたり頂いた資料には表層的なやり方の部分以外に日本、中国からの古典を紐解いた思想などの在り方についての言及が沢山書かれていました
洋服の美しさだけでなくブランドとしてフレームワークがしっかり構築されていて、ブランドとしても美しい姿をしているなと感じました

より深くYASUTO KIMURAの洋服を楽しむ為に、提供頂いた資料から抜粋しYASUTO KIMURAの哲学を紹介したいと思います

(洋服に内包された哲学)
〜テーマ〜
西洋の美意識と宗教観が創り出したスーツ。その歴史の中で発展した縫製技術、製図方法、アイロン技術を駆使しながら、東洋の美意識と宗教観で再解釈した現代的なテーラードの提案

〜サブテーマ〜
西洋で発明された、資本主義の象徴の一つでもあるスーツへの反抗、離脱。東洋的な思想(老荘思想や禅)や美学を融合させる事により、より柔軟に、現代社会の中心に身を置きながら、より自由な精神世界を楽しむ人物になれる可能性があるのではないかという提案。つまり、俗世間の中にいながら離俗する。(何も人里離れた山奥に逃避するのではない。)

YASUTOKIMURAの主な東洋の美意識と宗教観のキーワード
・禅、老荘思想
・現代的な文人趣味、(拙なる美)
・離俗の美学
・世阿弥(風姿花伝書、秘すれば花なり)

専門的な言葉が多いので少しカジュアルにした私の要約では、こうです

禅や老荘思想は”超個人主義”の事を指していて「人と比較して安住せずに自らを自由に表現しよう」と言う考え方、そして拙なるとは見た目の技巧に囚われず素朴で純粋な強さから生まれる美しさの事、離俗の美学とは「俗世間にいながらも、流行に流されないで自己を表現する」と言う事、最後の世阿弥の秘すれば花なりとは「花とは人に与える驚きの事を指し、隠された花だからこそ感動が生まれる、その感動も生み出す花は鍛錬の先にしか存在しないもので、その花も相手や場面、タイミングによって都度、適応するからこそ、効果がある」と言う意味です

私が思うに、この思想がYASUTO KIMURAの洋服には、こんな風に表現されているんじゃないかなと思います

「この洋服は、手がけるデザイナーが一人一人お仕立てされる方に向き合う事で、その方の体型、思考、生活環境にとって最も心地良い着心地と着用した時の感動(花)を提供しますよ、その感動(花)は表層的な表現であしらっているのではなく、眼に入らない箇所や隠されている部位にこそ、宿っているんですよ、いつか気付く事があるかもしれません、その時を楽しみに日常のあらゆる場面で着用し、自然に貴方らしさを表現して下さいね」

少し話は逸れてしまいますがVELISTAのロールモデルについて、、
ジェンダーレスと記載しておきながら性を固定してしまうのはナンセンスなのですが、敢えて男性性にスポット当てさせて下さい
私のロールモデル、アイコンとなる男性は3人(タモリ、セルジュゲンズブール、サーストンムーア)まるで違う三者のように感じられると思いますが私の中では共通項があるのでお許し下さい
実は彼らが纏った時の事をイメージし、VELISTAのビスポークセクションは構成されています

決して力まず、自然体で、そして俗世界(マス)に身を置きながらも離俗の美を有している彼ら、そんな彼らがYASUTO KIMURAのスーツを纏ったら、、と妄想

16年目のVELISTAの現在地に於いて最適解が、このYASUTO KIMURAです

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YASUTO KIMURAの西洋のスーツの解釈。
現代資本主義の象徴であり、封建社会、競争社会、拝見主義、権威的、威圧的なものを感じます。
その個人の人間性や性格を覆い隠し、鎧のように身を守り、戦いに挑む為のユニフォームでしょうか。
とても緊張感を感じます。
実際、スーツは毛芯や製図方法によりメンズボディの強弱のあるメリハリのあるシルエットを創り出し、理想的な男性のフォルムを作り出しています。
様式美や形式美があります。日本の美学ですと茶の湯文化でしょうか。宗教ですと儒教に近い印象。

-従来のジャケット、パンツ、シャツ。アウトライン、縫製技術を表面的にはなぞりますが出来上がりの着地点は全く文化背景が異なる美意識を提案しています。それが東洋人である私にしか出来ない物作りです。

※YASUTO KIMURAがスーツコレクションがメインなのは私が社会の中でスーツを着て生きる人間には到底なれなかった自分への肯定、疑問、その執着心もあるのかもしれません。

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上記の通り、スーツコレクションがメインと記載されていますが、セットアップオンリーと言う訳ではなく画像の通りデイリーウェアとして着用可能
ジャケットはフロントボタンを廃し、袖口ボタンも無く折り返しを前提として仕様になっています、西洋的なデザインを踏襲しながらも要所要所のデザインやディテールには和装を用いられる仕様になっています
そこから感じるのはスーツと言う固定観念が持つ権威的な雰囲気ではなく、ルームウェア、或いはリラックスウェアが持つ丸みのとカーブ、そして体を強制する事のない直線などが描くアウトラインは美しく、それぞれのディテールは適切な箇所に置かれながら組み合わされています
着せ込むシャツにはタイドアップが前提になっていません、

ビジネスシーンから自宅へ戻りリラックスを生む為にジャケットを脱ぐと言う作業は無くなります
オンとオフを横断するデイリーウェアとしてのスーツがココにあります

スーツの概念の崩壊、拡張、そして解放を是非、体感頂きたいと思います

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ジャケットのデザインコンセプト

・立体的な抑揚のあるシルエットでは無く、かなり緩やかで平面的な構造です。

・西洋の美しいフォルムとは躍動感がり緩急がり、メリハリがあります、対して東洋的な美しい線は流れる様な柔らかい線で抑揚があまりありません、空気感があります。例えば仏像のフォルムです。よってラインは直線、もしくは緩やかなカーブにより設計されています。

上下着用している時に目線が上から下へと流れる様に移動してきます。

・前見頃、前肩には柔らかい毛芯を使用し、襟のロールや前肩による運動量の確保、襟付け等、手作業をふんだんに使い、テーラードとしてオーセンティックな方法で仕立てています。

・少し低めのゴージライン、太めのラペル、上襟巾、やや広めに設定された身幅は意図的に通常のバランス比率から外され、通常の美意識からズレた者を象徴しています。

・通常のジャケットの第一釦を締めると、男性的な胸が強調され、威圧的になり、抑揚あるシルエットが生まれます。YASUTO KIMURAの理想は、あるがままを受け入れる事。人前で敢えて強がる必要もありません。闘う必要もないのです。又、性別による区別もありません、よって前の打ち合い幅がなく、付き合わせ、ボタンなしのデザインになっています。

・シャツとの着合わせですが、着物の様な着用感を最終の理想としております。つまりはシャツは襦袢としての概念です。その為、JKT台衿幅、シャツの台衿幅は同寸になりJKTの襟からシャツ襟があへて見えない様にしています。
(西洋のルールでは大体1cmシャツ見せますルールがあります)。JKT袖端からもシャツは見せる必要はなく,折り返して同寸に設定できる様なデザインです。
(これにはメンズのルールとしてジャケット、シャツの袖丈はこれが理想だ!の様な西洋的な細かいルールがありますが、東洋的な感覚ですと着用者に合わせて服が変化すれば良いのです。
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シャツのデザインコンセプト

・シャツを着た男達が仕事終わりに気を自由にしていく為に(離俗する為)にタイを解き、第一釦を開けていくイメージから始まりました。

これに着物の下に着る襦袢の見え方の要素(V空きで前下がり低め)を組み合わせています。

・高品質な生地(w幅150cm)を惜しみもなく使用する事により、おおらかさ、優雅さが表現できるかと思いました。それと同時に私は[表裏一体]という言葉が好きなので、ここから表生地を裏に回り込ませるコンセプトに至り、裾のステッチが消滅しました。

.この裏表2枚の生地から見頃を作ることにより、第一釦がなく、センターラインが綺麗なシャツが完成しました。

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パンツのデザインコンセプト

・日本人の着物から生地をあまり裁断断しないで最大限の資源(生地)を大切に有効活用していくコンセプト。

・アジア圏の古い民族衣装のパンツはワキなしの筒形であった。

これに西洋のアイロン技術を入れて足のカーブ曲線を出しています。

・脇線から後ろ身頃の生地の地の目がバイアスになる為、ドレープ感と柔らかさが生まれます。これにより、柔らかさ、おおらかさ、優雅さを表現したいと思っています。

・腰の帯は最終的にウエストのフィット感を高めていくのでティールの意味合いの他に、私が将来的に茶会に行った時に扇子を挟むために必要なものです。

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上記の説明の通り、ジャケットには日本の高度成長期に謳われたビジネスシーンで戦う為の戦闘服と言う意味合いは皆無です
よって必要以上に自身を誇大するような抑揚を促すディテールはありません、全てを固定せず自由なサイジングで自由な着こなしを実現しています
シャツにも緊張からの解放と言う意味も含め、第一釦を廃し台襟高を低く設定することでネック周りを拘束する要素を無くし体感的にもメンタル的にもリラックスを与えています
パンツには東洋の歴史を紐解き、生地の裁断箇所を極力減らし資源の有効活用と言う側面だけでなくワキハギが存在しないことで生地の地の目(織の向き)がバイアスになり自然なストレッチ性を生み出し心地良い履き心地が実現しています
生み出されたシルエットも時代を超越した美しいテーパーシルエットを描きます

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コート

YASUTOKIMURAのコートのデザインの始まりは、ある一人の女性芸術家、そして、もう一人の中国の詩人の立ち姿から始まりました。
詩的に、感覚的に進めていった企画になります。この西洋と東洋の芸術家をYASUTO KIMURAのコンセプトによって融合し、表現してみたかったのです。
キーワードとして。

・ストールが共生地のアンサンブル であること。
・展開しているジャケット、シャツとの着る合わせのバランスが良い事。
・末端(袖の折り返しできる仕様)を共通させて統一感を出す事。
・和装の羽織の様にフロントで一部付き合わせの箇所がある事。
です。
・襟のストールは脱着式になっており、自然に見える様に対象ではなく、左右長さを変えています。
・着丈が長い事。

私は彫刻を学んでおりました。
人物をモチーフとした彫刻は、色、素材は、はなるべく同素材、同色の方が余計な情報がなくその対象の人物象が表現しやすいです。
例えばミケランジェロの大理石彫刻、朝倉文夫のブロンズ等、、

この着丈が長いコートは、着用者の,人物像,を表現する装置になれると思っています。

ワンピース
ユニセックスの企画としてスーツやシャツ等はコンセプチュアルに進めていけますが、ワンピースは女性のものですので難しかったです。
ですので、ブランドの世界感に統一したデザインにする為、今回は私(YASUTO KIMURA)の周りにいる大切な女性達からのインスピレーションにより制作を始めまてみました。
※主な構造に使用している着物スリーブが西欧衣服に構造線として採用されたのは19世紀末の西欧にジャポネズリ(日本美術愛好)の運動があった頃です。
キーワードとして、
・生地を多く、広く使うことにより、生産コストによる生地用尺の縛りとは無縁の優雅さがある事。
・ウエストラインのハギ部分(不均一のギャザー)、一般的には裏に向ける部分を表にし、それを美しく表現する事。
・裾上げや、袖口、生地の端は全てハンドで仕上げていく事。
・左右のサイズ調節の紐は袴の構造からデザインする。
このキーワードを意識して現在の姿になっています。

ショーツ
このDrawstring shortは、Drawstring trouserの派生で生まれたパンツです。
パンツのコンセプトを引き継ぎながら、和装の袴からインスピレーションをえたバックデザインと、それによる個性的なフィット感はYASUTO KIMURAの世界観を表現する一着です。

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私が個人オーダーさせて頂いた2年前のオーダー会で最も目を奪われたのがコートでした
予備知識なくオーダー会に伺った為、先ず実物を遠巻きに見た時のアウトラインの美しさと、どこの国とも断定出来ない唯一無二なデザインに驚き、実際に触れてみた際の細部にわたる作り込みに驚愕しました
西洋の匂いは間違いなく醸し出しながらも凛とした佇まいは正しく東洋のそれで、そして香りたつモダニズム、、着想元が女性芸術家と中国の詩人と知って納得です、、やはり唯一無二

美しさのプライオリティが最上位に無ければ許されない女性の洋服、このワンピースに於いては男性ならではの視点、それは強権的ではなく、左脳的な拘りが遺憾無く発揮されていると、、その一つのヒントが超絶技巧なギャザーに息づいています

ショーツ、日本の夏には欠かせなくなったと言っても過言ではないです(それは男女問わず)
大人の方々にとって夏の着こなしの命題として”ライトでイージーなコーディネートからの離脱”が挙げられますが当然のアピアランスはクリアしつつ、リラックスとラグジュアリーをバランスよく盛り込みながら静かなる禅の世界を感じさせるデザイン、是非カジュアルなトップスとの組み合わせを楽しんで欲しいアイテムです

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2.袖のハンドステッチになります。今回の生地はシルク混ですので縫製糸は全て絹糸になっております。(YASUTO KIMURAのアイテムは全てシルク糸縫製になります)
糸の特徴:絹は独特の美しい光沢と、しなやかな感触があり、滑らかで、弾力性に富んでいます。ほどよい強さと、ほどよい伸びは、布地を傷めず、布地にまけないなじみ良さを備え、古くから、最も使いやすい 縫い糸として親しまれています。

3.繊細な薄い生地の為、バイスに当たるカーブは伸びやすい為、縫い合わせの前には全て、しつけをして形状の安定を保っています。

4.仕上がりを、軽く、薄く仕上げるために縫代全て2mm~4mmの段さらいにしています。

5.カーブの部分は仕上がりの馴染みを良くする為に、ハーフバイアスの生地を形状に沿ってクセとりを行っています。

6.3の工程です。

7.襟ぐり・アームホールのハンドステッチは太番手の絹糸で行っております。
ミシンによるステッチよりも柔らかく、伸縮性がある上りになります。
この絹糸の光沢感は、装飾的なさりげないアクセントになると考えております。

8.裾脇の閂になります、これはこのデザインの特徴である生地が裾で折りかえる事による、洗濯時の生地の飛び出しや、着用時の着丈寸法の不安定さ、襟ぐりのレイヤード幅の固定を主な目的としています。

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個人オーダーしておきながら別注制作で初めて知った縫製糸が全て絹糸だという事実
サンプル用にチョイスした生地がコットンシルクという事もあり、生地の表面に走る艶を崩さないよう絹糸が放つ艶が一体感を生み出していました
釦穴を絹糸で纏る事はしばしばありますが、全ての縫製を絹糸で行うのは和裁の着物や浴衣では見受けられますが西洋の顔をした洋服にも用いられている事が木村さんらしい拘りだなと感心します
モデルはインラインで展開されているLayered T Shirtをロングスリーブに転用し、付属で共地のスカーフを用意しました
タンクトップとロングスリーブのプルオーバーシャツを重ね着したような前後の身頃を1枚の生地でパターンを起こしています
着用画像では少し分かり難いですがオーバーサイズ、リラックスフィットでもないのに、お腹ぽっこりの私が着用しても気になる腹部の膨らみを感じません
最後の画像でわかる通り重ねられた生地は一枚で仕上げられていますので生地と生地の間に隙間を産み、若干の空間を作り出すことで美しいラインを保ちつつ、丸みを持ったシルエットを生み出してくれています(着用しているのは1度洗いを掛けた状態です、洗い晒しにすると更に生地の凹凸がくっきりして、また違った表情を作ってくれると思います、あ、素材をウールやリネンなどに変更すると現れる表情は幾多にも広がりますね!)
コート、ジャケットなどでも採用されているディテールですが、袖丈を袖口に合わせるという概念がありません、故に袖口の生地は二重になっており、長ければ折り返す事を前提にされています、男女の性差が無い事がこのディテールからも見て取れます
(もちろん、オーダーメイドですので袖丈の長さはお好みの寸法でお作り頂けます)

そして、ミニマムだからこそ、あらゆる箇所に用いられた手縫いのステッチワークが輝く絹糸と共に静かなる主張が聞こえてきます

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オーダーメイドと言う性格上、選ぶ生地やディテールによって様変わりしますので飽くまで、ごく一部の製品パターンとして御覧頂きたいと思います

特に着目頂きたいのがDrawstring trouserの足の付け根から裾まで真っ直ぐに伸びた直線美

カリッとした質感のウールモヘア生地の特性とも相俟って陰影のよって浮かび上がる立体美は、さながら建造物の様です

この脇ハギの無い筒形のパターンで形成される用尺たっぷりの贅沢仕様のトラウザーはフロントは直線、バックは曲線と言う両性具有的パターン

ヒップ、ふくらはぎ、太腿など曲線が存在する人体が纏う時に直線を生み出すとなると避けては通れない着心地の壁
標準寸法を用い工業的に製作される既製品とは違い、デザイナー木村氏が自ら採寸しパターンを作成、それを元に生地を裁断、そして自ら縫い上げると言う全ての工程を一気通貫で行うからこそ、顧客の体型から紐解き、内に散りばめられるニュアンスの具現化があるからこそ、実現出来る優しくフィットするワンアンドオンリーな着心地があります

正に”秘すれば花なり。秘せずは花なるべからず”

そしてLayered T shirtではコットンシルク生地に華を添える絹糸のステッチワークは全て手縫い、そして無双仕立て
手縫い特有の丸みを持った縫いは、それに似せるマシンメイドのAMFステッチには出せない起伏と緩急が備わった一針の価値があります
袖をサラッと折り返して生まれるカジュアルなニュアンス(これはYASUTO KIMURAの代表的なディテールでコート、ジャケット、シャツにも用いられた要素です)

Stand collar shirtには第一釦は存在しません、故に着用した時の左右の襟が放つ存在感が明確になります
こちらも無双仕立てによって重なる表地の隙間に入る空間から生まれる柔らかなアウトライン
ボックスシルエットながらもワーク風味を感じさせないのは、やはり繊細で美しいカッティングと必要最低限に留められたステッチによるところ

全くもって派手さは皆無、奥ゆかしい侘び寂びの世界
唯一、雄弁に思えるのはバックヨークの繊細なギャザー
そんなディテールも、やはりフロントではなく、バックに置く所が木村さんらしい

ジャケットのインに合わせることも前提に置きながらも、このシャツ一枚で十分!と納得させる存在感が袖を通せば分かります

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