朝8時半の新幹線で妻と一緒に昨年末から新しく取り組みさせて頂いているオーダースーツの縫製工場さんの所へ、展示会と工場見学を兼ねて訪問させて頂いた
オーダースーツ関連の工場へ伺うのは十年振りぐらいだろうか、
ビスポークセクションをスタートさせた15年ほど前の苦々しい記憶も蘇ると共に、既に取り組みさせて頂き、数着の製品も発注させて頂き、素晴らしい仕上がりで納品頂いているのもあり、ワクワクの気持ちの方がもちろん上回っているのだが笑
最寄りの駅へワザワザ迎えに来てくださる有難いもてなしの中、数分で工場に到着
先ずは工場見学からスタート
陽の光が適度に入り込む広々とした工場では約80名ほどの従業員の方が勤めておられるそうで、現存するオーダースーツの縫製工場の中でも綺麗に整理整頓し整備された工場内は、縫い上げられる製品同様に美しく心地良い空間が広がっていた
見学させて頂く中で色々な驚きがあったが、何よりも印象深ったのが、働かれている従業員の方の世代の若さだった
冒頭で触れたが15年前のオーダースーツの縫製工場に出向いた時の印象や、その後、量産工場を度々訪れる機会がある中で見てきた印象は、やはり高齢な方々が大半を占める、その顔ぶれだった
実際に、この15年間で世代交代がうまくいかずに閉業した工場を幾つも見てきた
(有難いことに今、お取引させて頂いている工場さんは、しっかり経営をされているので永続経営を実践されている)
実際の製作の工程毎の流れに沿って丁寧に説明頂いたのだが、作業中にも関わらず、職人並びに従業員の皆さんが元気にコチラの顔を見て『こんにちは!』と挨拶をしてくださり、あの声を掛けづらい昔(!)の工場イメージとは真逆のサービス精神を感じる礼儀礼節に素晴らしい教育をされているなと感動しました
そんな元気な挨拶に触れる度に、15年前から何年と苦労した職人さんとの意思疎通の大変さを思い起こした
当時はお仕立てと量産は相容れない関係にあり、オーダースーツの縫製工場にカジュアルウェアの概念を持ち込む私は煙たがられる存在でしかなく経験もバックボーンもない私の話に耳を傾けてもらう事は至難の業で、どうにか縫い上げて貰っても、自身のイメージとはかけ離れたものにしかならず、何度も何度も心が折れかけては、無理矢理、前を向く、そんな日々(今となっては、その時に厳しい職人さんの言葉や態度が有難い、何にも代え難い貴重な経験になったと自負している)
そう思うと、今、一緒に洋服作りをしてくださっている職人の方々がいてくださることに、本当に感謝している
今週末から開催するビスポークレザーウェア ”Fores”の生産を担ってくださる森元さんには本当に感謝
オーダースーツ同様、レザーウェアのビスポークを実現するのも振り返れば10年近くの歳月が掛かっている
当時、レザーウェアの縫製工場は存在していたものの、ショットやバンソンと言ったレザージャケットといえばアメカジ経由のライダースしか、工場の方々は認知されておらず、フレンチVTGの・・・、テーラードジャケットの肩周りのように・・・と言ってもチンプンカンプンな顔をされるか、怪訝な顔をされて話は終わりと言う、私にとっては、そんな時代
それに対して森元さんは、縫い直しが許されない革と言う特殊な素材を操る技術の高さは言うまでもなく、それに加えて各国のヴィンテージにも、本格的なテーラードジャケットの製作されていた経験もお持ちで、私のイメージを凡ゆる角度からキャッチしてくれる素晴らしい職人さん
阿吽の呼吸とまでは言わないが、私の意図と感覚を適切に捉えてくださり、デザインのみならず販売戦略にもアドバイスをくださるほど、多岐に亘ってVELISTAのレザーウェアのビスポークカテゴリーを支えてくださっている
こんな頼もしい事はない
新幹線での帰路に着く中、改めて感謝を感じた、先日の出張だった
【BESPOKE-LEATHER JACKET~Fores ORDER FAIR in Salon de V】ル・コルビジェが愛したJKTが今、レザーJKTに