仕立てで魅せる、上質なミニマリズム
歴史のフォルムを、美学で再定義する
構築と遊離。その狭間に生まれた“現代のライダーズ”
(イントロダクション〜再チャレンジ)
22年8月にローンチした”フォレスティエール(現Fores)”に続く2ndモデル”LoDger”


Fores、ローンチから約5ヶ月後の23年1月中旬に職人の森元さんへメールし1月末には本モデル最初の打ち合わせを行うと言うスピーディーなキックオフMTGへの段取り
誕生まで6年掛かったForesの事を思うとスムーズな滑り出しでした
と言うのもForesのサンプルが上がった22年6月中旬頃には、次モデルに対する明確な目的があったからです
(ストーリー)
Foresローンチの際に記した事ですがファーストモデルのレザー版フォレスティエールの誕生から遡る事6年前に幻と消えた、とあるモデルの大失敗がありました
フルベジタブルタンニンホースレザーのシングルライダース、リリースに至らなかったファーストモデルならぬ、言い換えればゼロモデル
(Zeroモデル云々の経緯は過去のVOICEに書き留めているので、そちらを一読頂ければと思います)
そのゼロモデルは魂を乗せきれずに作ってしまった事への自戒を込めて、事務所の机の目の前のラックに掛け続けていました
気になる、目の前にあるから当然なんですが、気になるんです
魂は乗せきれなかったものの、情念と言うか、後悔の念みたいなものは宿っていて、ふとした時に目に入るシルエットは勿論、ふと目に付く襟やフロントの仕様なんかに、その念が湧き起こる訳です
Foresが出来上がれば、それら念みたいなものは昇華されると思い込んでましたが、そう言う事ではないんだと気付いたのが冒頭の日、23年1月17日、MORIMOTOさんへの第一報となるメール送信の日
「1月17日」、お気付きでしょうか、昭和生まれ、関西に関係のある方なら分かるでしょう、忘れられない日ですね、なんの因果か私の誕生日であり、私も、あの震災の被災者の一人です
カタをつけないと次に進めない自分の性分なのか、別のものでやり過ごす事に不慣れな自分としては、置いてきた念に向き合うしか道はありませんでした
やっぱり最初に作りたかったモノは、やり切るべきだと思い直し、ゼロmodel改め、”LoDger” 魂込め直し、もう一度、作りました



(一級品に仕上げる)
そもそも何故、シングルライダースを作りたかったかと言うと、15歳の私がファッションにのめり込むキッカケとなったアイテムでもあり、道具としての普遍性と革新性を併せ持ったデザインを産み出すポテンシャルを感じるアイテムだから
前にも触れたことですがLeather JKTと言うと洋服の中でも特別で最高峰アイテムの一つ
洋服好きの方にとっては憧れの一つ、叶うなら孤高の逸品を手に入れたいと願うもの
それはアンティークジュエリー、アンティークウォッチ、アンティーク家具或いは建造物などにも共通するもの
憧憬の眼差しが向けられる品だからこそ、作り手側の私は強い信念を持ち、本気で向き合わなければ時代を超越する洋服は生まれない心の底から手にしたい、袖を通したいと言う自身の内から溢れ出る思いと熱量が無ければ、誰かに向けて紹介してはいけないと6年前に心に刻みました
10代でschottのワンスター、VANSONのホースハイド、20代後半から30代前半でレザーライダースの本流Lewis LeatherやLanglitz Leather、JAMES GROSEを知り、またDior HommeやMARTIN MARGIELA⓪⑩、C DIEMのようなラグジュアリー&モード、アルチザンの洗練〜極北的なものにも袖を通した
時は流れて今から9年前、
最初のトライは冒頭の通りシングルライダース、シンプルでファッション性にも長けたデザインは今も変わらず好きなデザインの一つ、トライの結果は冒頭の通り
その後、30代半ばで没入したbespokeの世界
そこで知った「人に心地良さを与える洋服を纏うと言う概念」年齢を重ねれば誰しもに訪れる体型の変化、BE-SPOKEの洋服には、その変化と共に歩むと言う考え方がありますレザー(革)にも同様の考え方があり、1年後、3年後、5年後、10年後に着用者の体に馴染続けます日本の四季が様々な顔を覗かせるように革もまた、その時々で表情を豊かに変化させて行きます
そう、皮が革となっても、それは人と同じく生きとし生けるもの
着用者とレザーJKTが伴走(伴奏)するように、新しい顔に出会う1日、一年を楽しむような、そんな素敵な逸品を作りたい、これは変わらず持ち続ける心の奥にある思いです
(デザインにもストーリーを)
逸品、一級品にだけ刻まれたストーリーも纏いたい
それは普遍的でありながらも、どこか革新性もあり、まだ誰も到達していない要素を持った唯一無二なもの
ビスポークウェアのように着飾る事で高揚しながらも自然体の自分を高めてくれる洋服と言う考え方
普段の生活の中に違和感なく溶け込みながらも圧倒的な存在感を有するもの
最終的に整理されたラグジュアリーで美しいデザインに昇華させようと決めました
本モデルを形成するファクター
1、核となる要素のMotorcycle JKT
2、OUTDOOR JKTの道具的要素
3、絶対に外せないTailored
4、Classicではなく、Modern luxury
5、70年代後期、ベルリン時代のDavid Bowie(デカダンス)
具体的にこれらの要素が、どのような形へ落とし込まれたのか、一つづつ紐解いていこうと思います
1、Motorcycle JKTの要素


これは出発点となったトライアンフに跨るシングルライダースと思しきレザージャケットにあった襟付きのデザインを取り入れました
勿論、数十年前の記憶しか資料となるものはないので、私の頭の中に刻まれたイメージを具現化する(苦手なデッサン)作業が大変でした
その中でも明確に記憶しているのは所謂シングルライダースはスタンドカラーが主となる襟のデザインですが、記憶の中のライダースには襟が存在しており、また薄ら見える左脇辺りにはDポケットと呼ばれる
アルファベットのDの形を模したファスナーポケットが存在していました
このDポケットの起源は諸説ありますが、一般的には1930年代の米国軍のフライトジャケットのアビエイタージャケットから来ていると言われており、
狭い戦闘機の操縦席でもポケットから出し入れし易いように角度を付けた結果、アルファベットのDの形になったと言われており、デザインの一つとして用いられているディテールです
ただ別の説として現ルイスレザーの1920年代の当時D・LEWISという社名だった頃のカタログには「ジップ・マップ・ポケット」という名でDポケットを見ることが出来る為、真偽は不明です。。。
このDポケットは前々から必ず盛り込みたいと思っていたデザインの一つでしたが、原型はパッチポケットのようなポケットパーツを縫い付けた仕様でしたが、本モデルには主張が強くカジュアルな印象が出てしまう為、
全体のミニマムな印象を損なわないようにバランスを取りステッチワークで表現しています
後身頃の腰位置に配置しているサイドアジャスターは、1930年代のTopline sportswearのレザー製アヴィエイタースタイルのモーターサイクルJKTのディテールを用いています
ヴィンテージならではのデザインはジャケット的な着丈バランスのポイントにもなる背面ヴューはmodernな印象の後押しになっています


2、Hunting JKTの道具的要素
襟付きにした際に立ち襟にも出来る仕様はhuntingジャケットのディテールより踏襲しています
ただ襟の形状はやや前下がりを下げ気味にし、立ち襟にした際に顎や口への干渉がないように調整しています
立ち襟の際にチンストを採用していますが、こちら一般的に襟に縫い付けたり、ボタンで固定するなどの仕様が多い中、襟を寝かして着用する際のシンメトリーな状態を確保する為、
チンストラップ自体が襟から着脱出来るようにし、取り外した際には前身頃の内側の裾にスナップボタンで取り付け出来るようにして、紛失防止対策を講じております
1940年代のBrown’s Beach JacketのフロントZIPタイプの非常に珍しい個体を全体バランスで取り入れています、一見、ブラウンズビーチには見えない洗練されたデザインが本モデルのmodernながらも
何処と無くオーセンティックな顔を持つ独特のデザインバランスを生み出す一役を担っています




3、絶対に外せないTailored
重要なアウトライン、そして着こなしを担うパターンメイクは、VELISTAらしくさが最も現れるテーラードマナーを大胆に取り入れたものになっています
特に特徴的な箇所として肩線を後方にずらしたことにより、肩に縫い目をぶつけないで滑らかなシルエットを作っています
また肩甲骨に近い位置で膨らみを作ることができるので、背中のフィット感が増して、見た目にもなだらかで美しい背面を作ることができています
これはビスポークジャケットに用いられているディテールです、VELISTAのビスポークレザージャケットには標準装備としています
まさに、出来る人ほど背中が雄弁に語るの具現化です

4、Classicではなく、Modern luxury
デザインをする中で最も重要視したのが着丈のバランスです
1でも触れている通り元々はシングルライダースがデザインの根幹を担っている中で一般的な腰位置丈にしてしまうとモダンな雰囲気は出せても、エレガントさが損なわれてしまう為、
当初から、テーラードジャケットに近い着丈にする事は決めていました
ただカバーオールのような寸胴に見えるボックスシルエットは美しくなく、かと言ってウエストシェイプを強めた英国テーラードに寄り過ぎてしまうとカジュアルな装いは出来なくなってしまう懸念がある為、
どちらのスタイルにも適応できるようにする為、腰位置にサイドアジャスターを配置して、スタイルに合わせて自由にシルエットが可変できる仕様にしました
腰位置で制限されないシルエットは、本当に着こなしの幅を広げるし、ギュッと絞ってウエストマークを作った時のモダンでラグジュアリーな美しいシェイプラインが、このモデルの最大のポテンシャルとなっています




5、70年代後期、ベルリン時代のDavid Bowie
Designする上での重要なファクターとなったのが、70年代後期のデヴィッドボウイです
その頃の彼が着用していたものをリファレンスしたという事ではなく、当時の彼が音楽に投影していたものや滞在していた都市、生活していた場所、
環境などから想像を膨らませて当時の彼が纏いそうなレザージャケットを妄想しデザインの全体像を固めていきました
簡単に言うとデザインする上でのペルソナであり、ロールモデルにしたと言う事です
例えば楽曲制作をしていたフランスのエルヴィル城での制作時の姿を想像しデザインしたり、プロデューサーのブライアンイーノによって取り入れた手法オブリーク・ストラテジーズの考えを参考に、
同じパレットに乗りそうにないディテールを共存又は交差させることに応用しました




ジギー時代の甘美で奇抜な衣装やメイクを脱ぎ捨て非常にリラックスした表情で朗々と歌い上げる姿がとても印象深く、当時のスナップ写真の多くがモノクロで当時のベルリンの歴史的背景を表したような内省的な雰囲気
実験的で非常に深遠で複雑なものながらも、そこに漂う美しい感性を、このアイテムにも取り入れています






因みにモデル名の”LoDger”は彼の作品名から、直訳すると”間借り人”、通底するものが、このアイテムにも込められています
そして、この複雑なプロジェクトをカタチにしてくれるのは、やはりこの方以外にいません、私にとっての宮大工のような存在
レザービスポークテイラー、MORIMOTOさんに今回も製作を依頼しました
私の煩雑なファクターを上手く編集し、更に森元さんらしい深い造詣を持つアメリカンカジュアルのアイデアを散りばめてくださることで、よりオーセンティックな空気を纏うことが出来ました


結果的にクラシックなFores(フォレスティエール)とは別軸のElegantでModernなデザインにする事もでき、Foresを手にして頂いた方にも、もう1着、手にしたくなる、素晴らしいレザージャケットになりました
着る人を引き立てるだけでなく、新しい側面を浮かび上がらせる洋服、一生袖を通し続ける洋服、遂に出来上がりです
(制限のない着用シーン)
(合理性)ビスポークによる着用者に合わせたデザインやサイジングは着用者に一切の要求をすることはありません
着用者が必要なように必要なディテールを選択する、着用者が主人公として生まれる洋服
(調和)デザイン面だけでなくパターンメイクも含め異なる様々なシーンに用いられた要素を盛り込みながらもミニマムに整理され昇華したことで様々なシーンに適応する証明となった”LoDger”は凡ゆるシーンとの調和が成されています
それはドレスコードのある場面でのドレスパンツとの調和、また或いはアクティブなワークウェアやミリタリーウェアとの調和、またある時はVTGボトムスとの調和まで、、今は想定していない数年先の貴方が体験する未知の場面にも調和する筈、、
それは着用者の年齢による経年変化にも適応し調和を取ると言う事を意味しています









先の通り主人公は着用者、お好きなレザー、ボタン、裏地、ディテールを選んで好みの一着に仕上げてください
~オーダーメニュー~
革:
・オイルディア、ディアヌバック、ディアノーブル
・アニリンシープ、シープスウェード
・MRラム、ラムスキン
・ゴートスキン、ゴートスウェード
・ホースハイド(茶芯)、ホーススウェード
・バッファロー
など全80種(各産地ー日本、南フランス、ニュージーランド、トルコ、インド、モンゴル、中東)
※NEW-ディアノーブル,MRラム,ホースハイド(茶芯)、ホーススウェード,バッファロー
釦:本水牛(9種)、ナット(16種)
裏地:コットンギャバジン(9種)
袖裏:レーヨンxコットンサテン
納期:約10ヶ月(革の種類によっては10ヵ月以上掛かる場合もございます)お急ぎの場合は一旦ご相談ください
プライス:一旦、御問合せください
※1st modelのFores(フォレス)も持参致しますので、本モデルと比較してオーダーメイドをお楽しみください

Foresに関する詳細は、こちらの記事でご確認ください→Fores(フォレス)
と言うことで一生モノの相棒を携え、東京オーダー会を開催します
詳細は此方です
開催日:12月20日(土)〜12月21日(日)の2日間
会場:Solon de V(VELISTA)
詳細:アポイント制(下記の時間枠にて対応)※下記以外の時間帯を希望される場合は、一度ご相談ください
12月20日(土)
1、13時〜14時30分
2、15時〜16時30分
3、17時〜18時30分
4、19時〜20時30分
12月21日(日)
5、13時〜14時30分
6、15時〜16時30分
7、17時〜18時30分
8、19時〜20時30分
※参加希望の方は、コンタクトフォーム、またはLINEにて下記を明記の上、御連絡くださいませ
名前(漢字フルネーム):
希望日時:上記時間枠よりお選びください