美意識は個々をとりまく文化、時代、社会、環境などの様々な要因によって形成される。時代を遡れば国や地域で着飾り方も、絵画の技法も、奏でる音楽も異なるものだった。その異なる美意識が交わった時、新しい価値観が生まれ、次の時代の美意識を形成するうねりとなる。
高度情報社会の現代、ありとあらゆる情報が瞬く間に世界を駆け巡る。
グローバリズムの流れは1990年代以降、新自由主義的な経済政策とインターネットの普及により加速度的に世界へと広がった。とりわけ近年のデジタル技術の発展は目覚ましい。生活における利便性が高まった一方で、地球規模でデジタル化された社会においては個性の均質化が進んでいる。
衣服、アート、音楽などの流行は水平拡散され、各々が持ちわせていた美意識の輪郭を溶かしていく。
AW26シーズン、NICENESSは均質化された世界への反抗として、18世紀イギリスの画家ウィリアム・ホガース、そして1980年代のパンクカルチャーをコレクション制作の礎とした。誇張や皮肉、ユーモアを織り交ぜて人間の滑稽さや矛盾に溢れた社会を表現したホガースのカリカチュアを着想源に、伝統的なワークウェアやハンティングウェアを再解釈し、画面越しでは伝わらない仕掛けを忍ばせた。流行へ同調するのではなく、独自の美意識を貫く姿勢はパンクの精神に呼応する。
画面上で一見すると重厚なものが驚くほど軽く、ダメージやほつれなどの経年変化は特殊なプリント技法で表現され、フラットに映る生地が立体感を宿していたりと、このコレクションではデジタル情報からは認知できない視覚と触覚、情報と実像の隔たりを随所に忍ばせている。
伝統的なデザインの文脈を踏襲しつつも、ディテール、色調、素材感に歪みや遊びを加えた。均質化する世界の中で“違い”を価値と捉え、美意識としての反骨精神を表現した。





1st デリバリー
店頭販売開始可能日:7月18日(土)
オンライン掲載開始可能日:7月25日(土) 12:00 –
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